コレクション: Kunihisa Mayu / 國久 真有


「息をしているように描く」。國久真有は自然の中に身を置き、五感を研ぎ澄まし、体現したその全てが作品に昇華されます。
その線は伸びやかな弧を描き、湧き上がる様に色彩が現れます。キャンバスを舞台に踊る線と色は作家の心の波動が呼応する精神性と躍動感に溢れています。

國久は平面でありながら多次元を扱えるメディアとしての絵画を、空間体験装置として探求しています。身体性を介して、様々な方法で行うドローイングは、日常の場面に落ちる光として表現されています。日常の中に潜む美しさや繊細さを見つけ出しています。

作家は「WIT-WIT」※シリーズという独自の技法で絵画と向き合い、制作をしています。それは 人体を軸にし腕のストロークと遠心力を利用し描く手法で、四角いキャンバスに表現する平面絵画。自身を軸に筆で弧を描き平面を埋めて行きます。絵の具、時間を重ね、身体的なリズミカルな動きで描く行為。恣意的、意図的を排除し「気持ちが良いから」とただ無心に描きます。その瞑想的な絵画制作の世界観と作品は時空を超え、観る人を静かに深く惹きつけます。

息して、食べて、寝て、それは生きるための行為。画家國久 真有にとって”描く”ことは生きること。”生きる”ことは、描くこと。描くために心身を鍛え、そして旅をする。そのすべてが作品の糧となっています。

絵画と真摯に向き合う画家國久真有が描き続ける線、作品、描く姿をひたすら見続けたいと思います

名称は、古代ローマ時代の建築家ウィトルウィウスの『建築論』の記述をもとにレオナルド・ダ・ヴィンチが 1485 ~ 1490 年頃に描いたドローイング『ウィトルウィウス的人体図』に由来します。

 

作家について
大阪府出身。インテリアデザインと建築を学ぶ。その後、ロンドンでファッション、ファインアート、インスタレーションを学び、テート・モダンで開催されたバーネット・ニューマンの個展を鑑賞したことがきっかけで、絵画の空間的表現に目覚めました。これを機に、絵画鑑賞を本格的に始めました。
 帰国後は神戸で絵画活動を始め、芸術工学を学びました。そのような多彩なバックグラウンドから、身体と物質、自然工学との関係性を深く考察する機会を得ました。

https://kunihisamayu.myportfolio.com/cv1  

学歴
1999年 大阪市立工芸高等学校インテリアデザイン科 卒業
2000年 大阪モード学園夜間パターンメーキング科 修了
2003年 University of the Arts London Central Saint Martins Art and Design Foundation course 修了
2010年 神戸芸術工科大学先端芸術学部造形表現学科 卒業
2012年 神戸芸術工科大学大学院芸術工学研究科総合アート専攻修士課程 修了
2015年 神戸芸術工科大学大学院芸術工学研究科芸術工学専攻博士後期課程 満期退学

受賞歴
2022年 咲くやこの花賞 美術部門
2020年 Young Creators Award 2020 グランプリ
2020年 ubisum by ubies Asian Review Tourament Benny Au 賞 
2018年 第22回岡本太郎現代芸術賞 特別賞
2018年 第47回現代芸術国際AU展 TIVOLI Award
2017年 UNKNOWN ASIA 審査員松尾良一賞、レビュアー中島麦賞、レビュアー三村康仁賞
2017年 KOBE ART MARCHE Artist Meets Gallery 入選
2010年 神戸芸術工科大学卒展「カオス」 奨励賞
2007年 神戸芸術工科大学セレンディップコンペティション グランプリ

パブリックコレクション
Museo dell’altro e dall’altrove di Metropoliz ローマ
東大阪市立永和図書館