Excavation 発掘 02
Excavation 発掘 02
朝日拓雄 / Takuo Asahi
作家は無垢の木の内部に潜むエネルギーのうねりを感じ、その存在を先端技術を用いてアナログに表現している。抽象絵画的オブジェ作品は悠久な大陸、岩盤を俯瞰で見下ろしたような形、色調を現し、観るものを果てしなく続く原野へと誘う。
素材: 木(栃)/ Wood(horse chestnut)
W1820 x H455 x D38.5 mm
2022
作家からのメッセージ / 作品について
表層の個性のみ残しほぼ均一に仕立てられる現代のマスプロダクト。それはネガティブとポジティブの両極面を併せ持ちます。
効率化が歯止めなく進む現代の最先端技術を持って、材料に内包される唯一無二のエネルギーの「カタチ」を掘り起こした作品群となります。
タイトルにある「発掘-excavation」は、高出力レーザーで荒彫りした後、木の硬さを見極めながら手と刷毛で優しく掘り起こす工程に帰来しています。
最先端技術とアナログ技法の同居によって露わにされたそのテクスチャは、地層岩盤や、はるか上空から見下ろされた住居の集合体に近似しています。
メインとなる畳半畳サイズの作品では半分を木工切削技術を用いて均一に仕上げていますが、これは、ひとつながりの連続する板の中で、混沌とする世界情勢の表裏や生死感といった、同居する対極性を表現しています。
感じ方は見ていただいた人それぞれが正解だと思います。
何かを感じ取ってもらえる事が出来れば幸いです。
作家について
1981年12月5日 徳島県生まれ。
大学で建築を学んだ後、渡欧。リュブリャナ(スロヴェニア共和国)を拠点にプロサッカー選手として活動する。帰国後、大手インテリアデザイン事務所へ就職。6年間の経験を経た後、飛騨高山にて独立。既成概念に囚われない手法で、木という素材をアートへと昇華する。