コレクション: Park Sung Wook / パク・ソンウク 

陶芸

1972年 韓国ソウル生まれ。現在京畿道楊平(キョンギドヤンピョン)で作陶。
粉青(ふんせい)※の質感や色調を現代的な感覚で再解釈し、陶土の欠片「Pyeon(ピョン)」を用いた平面作品や茶器へと展開している。静かな白や淡いグレー、深みのある土色、ブルーが重なり合い、まるで時間の層や記憶の断片のような景色を生み出している。
韓国、ロンドン(Saatchi gallery、Collect Art Fair等)にて個展、グループ展に出品。
ヴィクトリア&アルバート博物館(韓国)、湖林(ホリム)博物館等に収蔵。

[作品のメッセージ]
20代の頃、朝鮮時代の陶窯地を踏査する機会がありました。15世紀から19世紀にわたり生み出された青磁や白磁の陶片が、ひとつの空間に静かに佇んでいました。
その陶片は、長い時間の痕跡を静かに映し出していました。それは、私に「Pyeon」の着想を与えた原点となる瞬間でした。

「Pyeon」は、古い窯跡で見つけた“時間の痕跡”から始まりました。
壊れ、散らばった陶片は、本来の形を失っています。しかし、その欠片の中には、なお記憶と時間が宿っていました。私はそれらを、単なる壊れた断片としてではなく、時間の流れの中に残された痕跡として見つめています。
制作は、その欠片を再び分け、繋ぎ直していくプロセスによって成り立っています。
それぞれの破片は異なる時間と記憶を抱えながら、再び集まり、積み重なり、新たな構造や風景を生み出していきます。
小さな欠片たちは、それぞれ独立した形として存在しながらも、同時にひとつの流れの中で互いに関係を結んでいきます。
Pyeonの制作は、単に壊れたものを修復する行為ではありません。
失われ、散らばった痕跡から再び時間を読み取り、記憶がどのように残り、新たな形へと繋がっていくのかを探求する過程です。
破片は、終わった形ではなく、もうひとつの風景へと続く出発点なのです。

[素材・技法]
粉青(ふんせい)※
粉青とは、朝鮮王朝初期(15〜16世紀頃)に発展した、韓国陶芸を代表する陶器様式「粉青沙器(ふんせいさき)」に由来します。
灰色がかった素地に白い化粧土を施し、その上から彫りや刷毛目、象嵌など自由な技法を加えることで生まれる、素朴で温かみのある表情が特徴です。
どこか土の温度を感じさせる柔らかな質感や、手仕事の痕跡がそのまま景色となる感覚には、韓国工芸独自の美意識が宿っています。
パク・ソンウクは、この粉青の伝統的な様式を現代的に再解釈し、「Pyeon」シリーズを制作しています。焼成前に釉薬を施して一度焼き上げ、さらに金銀彩を重ねる作品には三度焼成を行うことで、土、水、火、そして時間の痕跡を幾層にも重ねていきます。
繰り返される焼成の過程は、単なる技法ではなく、断片に新たな記憶と風景を刻み込む行為でもあります。


 

 

商品が見つかりません
絞り込みの数を減らす、またはすべて削除する